「専ら」・「専従」・「専任」という単語が様々なところで出てきますが、施設基準担当者であれば一度はその定義を調べたことがあるかと思います。
よくネット上では、8割、5割といった目安が示されますが、それはあくまで厚生労働省が示した「がん診療連携拠点病院等の整備について」の資料で以下のように定義されたのであって、施設基準とは関係ありません。
8 専任
当該診療の実施を専ら担当していることをいう。この場合において、「専ら担
当している」とは、担当者となっていればよいものとし、その他診療を兼任して
いても差し支えないものとする。ただし、その就業時間の少なくとも5割以上、
当該診療に従事している必要があるものとする。9 専従
当該診療の実施日において、当該診療に専ら従事していることをいう。この場
合において、「専ら従事している」とは、その就業時間の少なくとも8割以上、
当該診療に従事していることをいう。
一方、施設基準に関する資料で同じように明確に定義した資料は存在しておらず、果たしてこの考え方を準用してよいのかは不明です。
そのため多くの施設基準担当者を悩ませている原因の一つになっていると思います。
実際、「専従はそれ以外のことをしてはいけない」という表現も耳にしますし、一方で、リハビリや放射線関連では、兼任してよい組み合わせが示されていたりもします。
つまり、個々の施設基準による、というのが現状では正しい考え方だと思います。
そして、個々の施設基準でどの程度求めているかを明らかにしようとするのであれば、その都度厚生局に確認するほかないと考えています。
では、残業時間はこれらの単語に縛られるのでしょうか。
ある施設基準で専従者として届け出た者が、残業時間に、その施設基準で定める業務以外のことを行ってもよいのでしょうか。
この観点で疑義照会してみましたので、紹介させていただきます。
なお、厚生局からは、「事例によることもあるため、具体的な施設基準を挙げて質問するように」とのアドバイスをいただいたため、次の事例で質問しました。
これに対する回答は次の通りです。
つまり、施設基準で求めている縛りはあくまで所定労働時間での業務であり、残業時間は考慮しないということです。
人によって残業時間は異なりますし、常勤や非常勤を述べる時も所定労働時間がどうかということなので、当たり前と言えば当たり前でしょうか。
ただし、これは喜んでよい回答とは思わない方がよいです。
働き方改革が叫ばれる中、「残業なら関係ないのであれば、他のことをさせよう」と考えるのはよろしくありませんよね。
なお、この話には続きがあり、IMRTと画像診断管理加算の関連でさらに疑義照会しました。
照会内容は
というもので、これに対しては
・つまり、画像診断管理加算に名前を挙げるのは不可である。
・また、名前を挙げた者が画像診断を行ったときに画像診断管理加算を算定してよいという要件であるため、画像診断管理加算に名前を挙げていない者が残業中に行った読影については算定はしてはいけない。
という回答が来ました。
つまり、治療と診断を両立させようとすると、結局はそれぞれに専ら担当する者が必要ということですね。
今回は以上です。
別の事例では同じ解釈にならないかもしれませんし、一つの参考事例として見ていただけると幸いです。
もし同じような疑問に直面してこの記事にたどり着いたようでしたら、その事案を具体的に示して厚生局に疑義照会されることをおすすめします。
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