要件に書かれている文章には、よく「又は」や「及び」という日本語が頻発しますよね。
そして、ひとつの文章の中にそれらがどちらも含まれている場合、そしてその文章が長い場合、どこまでが「又は」や「及び」なのかわかりづらいです。
なお、公文書など、法律における日本語には使用のルールが厳密に定められており、算定要件も施設基準においてもそれが適用されています。
ただ、そのルールを理解したとしても、いざ実際の文章を読むとどう読むのが正しいのかわかりづらいものが多々あるように思います。
そこで今回は、具体的には入退院支援加算3と入院時支援加算についてみていこうと思います。
まず、それぞれの施設基準には次のように書かれています。
<入退院支援加算3>
当該入退院支援部門に入退院支援及び5年以上の新生児集中治療に係る業務の経験を有し、小児患者の在宅移行に係る適切な研修を修了した専任の看護師又は入退院支援及び5年以上の新生児集中治療に係る業務の経験を有する専任の看護師及び専従の社会福祉士が配置されていること。
<入院時支援加算>
…(略)…当該入退院支援部門に、入退院支援及び地域連携業務に関する十分な経験を有する専従の看護師が1名以上又は入退院支援及び地域連携業務に関する十分な経験を有する専任の看護師及び専任の社会福祉士がそれぞれ1名以上配置されていること。
ええと、結局誰が必要か、一度読んだだけで理解できたでしょうか。
色をつけてもう一度書いてみると、入退院支援加算3では、
当該入退院支援部門に入退院支援及び5年以上の新生児集中治療に係る業務の経験を有し、小児患者の在宅移行に係る適切な研修を修了した専任の看護師又は入退院支援及び5年以上の新生児集中治療に係る業務の経験を有する専任の看護師及び専従の社会福祉士が配置されていること。
となり、入院時支援加算では、
…(略)…当該入退院支援部門に、入退院支援及び地域連携業務に関する十分な経験を有する専従の看護師が1名以上又は入退院支援及び地域連携業務に関する十分な経験を有する専任の看護師及び専任の社会福祉士がそれぞれ1名以上配置されていること。
というところはまでは分解できると思います。
このとき、太字で示した「又は」と「及び」は、何と何をつないでいるのでしょうか。
A又はB及びC
と簡単に書くと、
①「A」又は「B及びC」
と読むべきか、
②「A又はB」及び「C」
と読むべきか、さっと正しく読めますでしょうか。
日本語に強い方なら疑義照会せずとも正しく読めると思いますが、私は心配でしたので、念には念をということで厚生局に疑義照会することにしました。
さて、これに対する回答は次の通りでした(実際の疑義照会では入退院支援加算3について照会したので、そちらの回答となります)。
・例えば「専従の社会福祉士」が必要なのは、「研修を修了した専任看護師」がいない場合、となる。
つまり、「A」又は「B及びC」 が正しい関係性ということですね。
入院時支援加算に適用すれば、「入退院支援及び地域連携業務に関する十分な経験を有する専従の看護師」がいれば、「入退院支援及び地域連携業務に関する十分な経験を有する専任の看護師」や「専任の社会福祉士」は不要、ということです。
なお、今回の事例に関しては日本語のつなげ方がわからなくても、看護師に求められる経験や知識の差を意識すれば、おのずと 「A」又は「B及びC」 と読めることに気づくと思います。
入退院支援加算3においては、研修を修了した看護師は、研修を修了していない看護師よりも知識があるのは当然ですよね。
また、入院時支援加算での違いは専従か専任かの部分で、これも専従のほうが専任よりも体制として上であることは当然ですよね。
このように、要件が設置されている意義や背景を考えれば理解できる文章もありますので、そういう部分も考えて読む力が必要かなとは思います。
ただし、勝手な深読みは禁物だとも思います。
飛躍した理論や根拠のない予想で勝手な解釈をすることはおすすめしません。
ちなみに、入退院支援加算1で求めるカンファレンスに必要なメンバーは誰? の記事でも、
「A」及び「B」並びに「C」及び「D」という文章について触れています。
この事例では「C」の直前に修飾語があり、「D」にも係っているのかいないのか、疑義照会にて確認していますので、併せてご確認いただけるとよいかなと思います。
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