入退院支援加算1で求めるカンファレンスに必要なメンバーは誰?

算定要件

今回は入退院支援加算1のうち、入院後7日以内に行うカンファレンスに必要なメンバーが誰なのかを整理します。

というのも、この記事にたどり着いた方でしたら実感していると思いますが、入退院支援加算は要件が多く、そして文章もわかりづらく、なかなか理解が難しいと思います。

また、現場から、

「こういう場合は算定していいの?こういう体制で取り組んでも問題ないの?」

といった質問が届くことがありますが、公表されている算定要件や疑義解釈では判断が難しい状況も多々あります。

 

そこで今回はカンファレンスメンバーについてある疑問が生じましたので、厚生局へ疑義照会した結果を紹介します。

 

まず、要件の抜粋です。

(5) 退院支援計画を実施するに当たって、入退院支援加算1にあっては、入院後7日以内に病棟の看護師及び病棟に専任の入退院支援職員並びに入退院支援部門の看護師及び社会福祉士等が共同してカンファレンスを実施する。

この文章を読むと、

①病棟の看護師
②病棟に専任の入退院支援職員
③入退院支援部門の看護師
④入退院支援部門の社会福祉士等

の4者が参加する必要があると読めますよね。

 

では、これらの場合はいかがでしょうか。

(イ) A病棟とB病棟の2病棟担当として病棟専任配置している入退院支援職員が、A病棟において、②かつ③の立場として参加

(ロ) A病棟とB病棟の2病棟担当として病棟専任配置している入退院支援職員が、C病棟において、③または④として参加

(ハ) A病棟と入退院支援部門とで専任配置している入退院支援職員が、A病棟において、②かつ③の立場として参加

要は、「②病棟に専任の入退院支援職員」と「③入退院支援部門の看護師」、または、「②病棟に専任の入退院支援職員」と「③入退院支援部門の社会福祉士等」は兼ねてもよいのか?という疑問です。

また、「及び」や「並びに」がどこの単語までかかっているかについても難しく、そもそも④は入退院支援部門の者である必要があるのでしょうか

 

これらに対する厚生局の回答は以下の通りです。

・まず、社会福祉士等は入退院支援部門の者でないといけない
・そのうえで、①病棟の看護師、②病棟に専任の入退院支援職員、③入退院支援部門の看護師、④入退院支援部門の社会福祉士等 の別々の4者が必要である
・よって、質問の事例はいずれも不可である。

 

案の定だったでしょうか。

正直、人員がギリギリな組織においては死活問題な件だと思います。

整っていない組織の方、これから届け出しようとされている方には、体制の再確認をされたほうがよろしいかと思います。

 

さて、ここでさらに疑問というか、こういう場合は温情措置はないの?という以下の状況を想定してみました。

(ニ)4者いずれかの立場の者が急用や急遽の休みによりカンファレンスに参加できず、後日その者に情報共有のうえ、当日のカンファレンスの方針を事後承認や意見した場合はOKか?

(ホ)A病棟の担当として病棟専任配置している看護師が、上記同様に急遽参加できず、「他の病棟専任配置の看護師」または「入退院支援部門の看護師」がその分だけ代わりに参加した場合はOKか?(後者の者が参加した場合は、本来の入退院支援部門の看護師としての立場のものが別途参加し、計4人参加している場合を想定)

(ヘ)A病棟において、入退院支援部門の看護師が上記同様に急遽参加できず、A病棟以外の病棟専任配置の看護師がその分だけ代わりに参加した場合(A病棟専任の看護師ももちろん参加し、計4人参加している場合を想定)。

 

コロナ禍においては急遽担当者が休むことがよく発生します。また、1週間以上の休みになることもあり、現場は混乱してしまいますよね。そういった状況では、他の担当者が頑張っていても算定できないのでしょうか。

他にもいろいろなパターンがありそうですが、要は、急遽参加できない場合に別の立場の者が代わりに参加した場合は認められるか、という疑問です。

そこでこの点についても再度厚生局へ疑義照会しました。回答は以下の通りです。

・(ニ)のように、休務者がカンファレンスの内容を事後に確認する場合についてはOK。ただし、恒常的に続くようであれば問題であり、あくまで臨時の対応として認めるものである。
・(ホ)(ヘ)のように、休務者の代わりが参加する場合についてはNG。通知上で定められた担当者が参加しないといけないためである。

 

というものでした。なるほどですね。(ホ)(ヘ)については残念ですが、(ニ)が認められるのは大変ありがたいことです。

もし「休務者がカンファレンスの内容を事後に確認する場合」が発生するようでしたら、当日の参加者はもちろんですが、事後に確認した旨をカルテに残しておくとよいと思います。

 

さて、今回は以上です。いかがだったでしょうか。

今回に限らず、診療報酬のルールには通知では明確になっていないものが多く、聞かないと判断できないものが多いですよね。

そういったものを都合よく解釈してしまうと、あとで大きな問題となってしまう可能性があります。

頭に少しでもよぎった心配があれば、遠慮することなく厚生局に聞くのが一番だと思っています。

 

 

 

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